仮想通貨交換業の登録をした業者がまだゼロな件について

今年の4月に「改正資金決済法」が施工されました。

この法律では、仮想通貨が財産的な価値を持ち、商品や通貨と交換できることを認めています。
そしてもう一つ改正資金決済法の重要な点として、マネーロンダリングを防ぎ、利用者の安全性を高めるためにも仮想通貨交換業者の登録を義務化しています。

この法律により、仮想通貨交換業者は、金融庁・財務局の登録を受けないと、国内で仮想通貨交換業を行うことができなくなりました。法律の施行後半年間である2017年4月~9月一杯までは「猶予及び準備期間」なのですが、金融庁によると8月末現在で、まだ1社も登録していないのです!!

既に9月後半に入っていますので、登録した事業者もあるかもしれませんが、今回の記事では登録に何が必要なのか?そして10月以降の取引業者事情はどんな感じになるか?について考えたいと思います。

また、改正資金決済法や仮想通貨にまつわる法律全般につきましては、以下の記事にまとめてありますのであわせてご覧ください。

ビットコインなどの仮想通貨に関わる法律や税制について解説します。

2017.09.06

 

仮想通貨交換業に登録するための条件

政府広報オンラインによりますと、仮想通貨交換業に登録するためには以下の3点を満たす必要があります。

  • 株式会社であること
  • 資本金が1,000万円以上、純資産がマイナスでないこと
  • 仮想通貨交換業を適正かつ確実に遂行する体制が整備されていること

上から2番目までは明快ですが、最後の3番目は曖昧ですね。
「仮想通貨交換業を適正かつ確実に遂行する体制」として以下のような条件が盛り込まれています。

利用者への適切な情報提供

利用者が仮想通貨に関するリスクなどを理解したうえで、取引を開始できるようにするために、仮想通貨交換業者は、利用者に対して次の情報を提供することが義務づけられています。

  • 取り扱う仮想通貨の名称や仕組みなどの説明
  • 仮想通貨の特性(法定通貨ではないことや価格変動があることなど)
  • 手数料などの契約内容 など

利用者に対しての注意喚起になります。
株式やFXの経験がある方にとっては当たり前の事ではあるのですが、何かを取引する場合は、必ずと言っていい程リスクが伴います。

そのことを事前に知ってもらう必要があるわけです。この辺りは常識的な話ですね。

利用者財産の分別管理

仮想通貨交換業者は、利用者から預かった金銭・仮想通貨と、事業者自身の金銭・仮想通貨とを明確に区分して管理することが義務づけられています。また、利用者財産の管理状況については、年1回以上の外部監査を受けることが義務づけられています。

仮想通貨交換業者の登録がなかなか進んでいない要因がコレじゃないかと私は思っています。

利用者財産の分別管理を簡単に説明すれば、「お客さんから預かったお金を会社の運転資金に使っちゃだめですよ」というもの。

顧客から預かった資金は、当然のことながら顧客のビットコインの取引だけに使うべきなのですが、現状としては顧客資金を会社の運転資金として利用している業者もあるようです。

しかしこんなことをしてしまえば、もし業者が破綻した場合、顧客の資金は戻ってきません。まさにマウントゴックス事件のような状態になりかねないのです。

マウントゴックス事件とは一体何だったのか?

2017.06.27

このような事件の再発を防ぐためにも、利用者の財産は取引業者とは別の銀行等に預けておく必要があるのですが、体力の無い小さな取引所ではコレがなかなか難しいように思えます。

取引時確認の実施

マネー・ローンダリング対策のために、次の場合には、利用者に対し運転免許証などの公的証明書による確認をすることが義務づけられます。一度、取引時確認が済んでいれば、原則として公的証明書の再提示等は必要ありません。

  • 口座開設時
  • 200万円を超える仮想通貨の交換・現金取引
  • 10万円を超える仮想通貨の移転

これについては、多くの業者が取引口座を開く時点で本人確認書類の提出を求めていますので、特に大きなハードルではないでしょう。

以上が登録条件でした。
条件を見る限りでは、「体力のない小さな取引所は登録させない」という金融庁のスタンスが見え隠れしますね。しかし、利用者の保全やマネーロンダリングを防ぐ意味を考えれば、最低ラインにも思えます。
 

事業者に登録が求められる10月以降はどうなる?

さて、8月31日時点では金融庁に登録した業者はゼロとなっていますが、さすがに猶予期限が終わる9月までには登録を済ませる事業者が出てくると思います。

しかし、登録できる事業者は10社程度しかないと私は予想します。
今回のハードルはそれだけ厳しいからです。

登録に弾かれるような業者は、今後は淘汰されて廃業するか、生き残った大手の取引所に吸収されることになるでしょう。

この流れはFX業者のそれと変わりありません。
1999年にスタートしたFX取引は、その人気を増すとともに多くの事業者がFXのブローカーとして参入しました。

しかし、スプレッド競争の激化や、リーマンショックにより政府のレバレッジ規制が入ったことで、規模の小さなFX業者は大手に買収されざるを得ない状況になりました。その結果、現在の国内FX業者の数は大きく減り、体力のある業者のみが残っています。

仮想通貨の取引所についても同じ流れになる事でしょう。
利用者としては、信用できる事業者のみが残るのはありがたいことですが、事業者としては今後は厳し競争に打ち勝っていく必要があるのではないかと思います。

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